大好きな上勝で子育て

(妻)東 輝実(30
徳島県上勝町出身 2011年帰郷

(夫)松本 卓也(32)
大阪府出身 2011年移住

大阪府出身の松本卓也さんと上勝町出身の東輝実さんの出会いは大学時代に所属していた学生団体。
大学卒業後、東京での仕事になかなかやりがいを見出せずにいた卓也さんは、
「上勝でかっこいい仕事をしながら子育てをしたい」という輝実さんの熱い想いに触発されて、
2011年11月に上勝町へ移住。
輝実さんと一緒に「上勝町に来てくれた人をおもてなしできる場所」=『café polestar』を始めます。

そんな二人に上勝町での暮らしや仕事、子育てについて聞いてみました。

上勝町で事業を始めてみてどうですか?

(東)
私たちは「上勝町を百年先まで残す」をテーマに、上勝町のショールームを目指してcafé polestarを始めました。「上勝町を残していくことに貢献できてないんじゃないか」と悩んだ時期もありましたが、この場所がここにあるという意味を突き詰めて、それをお客さんに伝えることができれば、この町にとってひとつ揺るがないものになるはずだと今は考えています。今以上に、上勝町に訪れた人が気軽にくつろげて、上勝町の人には異日常の空間を提供できるように、日々前向きに試行錯誤しています。

 今後もっと人口が少なくなって上勝町が町として存続することが難しくなったとしても、このカフェに来たら上勝らしさに触れられたり、思い出せたりする場所として続いていけば、私の中では上勝町を残すことができたと言えるかなと思っています。そのためにも、上勝らしさを大事にしながらカフェをやっていきたいですね。

(松本)
田舎でカフェをやるのはなかなか簡単ではないですね。都会のカフェには絶対にない素晴らしい景色がある反面、アクセスはどうしても不利です。
ただ、この町にカフェがあるということはすごく意味のあることだと思っています。町外の方は上勝町に来るきっかけになるし、町民はお客さんをお迎えする場所として使用したり、コミュニティが生まれる場になったり。移住してきた人や地元の人、外から来たお客さんなどいろんな人がここで一緒になって、知り合いになったり、情報交換したりするのを見ていると、ここでカフェをやっていてよかったなぁと感じます。カフェという常に開かれた場所で、人と人との関係を案内できるような役割を今後も担っていきたいですね。

 週一回、営業終了後に、ここで中学生に勉強を教えているんですが、先日卒業式の後にその子たちがご飯を食べに寄ってくれました。高校進学を機に町を離れる子もいますが、また帰ってきたときには気軽に寄ってもらいたいし、そういった関係がこの場によって作れたことが嬉しいですね。

上勝町での暮らしはどうですか?

(松本)
 買い物に関しては、インターネットで購入することが多いです。早ければ一日で届くし、コンビニもスーパーもなければないでどうにかなります。慣れたらあまり不便は感じないですね。
 ただ、町内には夜間診療をしてくれる病院がないので、子どもが夜中に熱を出したりすると車で一時間走らないといけません。出産に関しても、いつ何が起こるかわからないので、近くに病院がないというのは不安が大きいのではないかと思います。やっぱり医療関係では少し不便を感じることはありますね。

上勝での子育てはどうですか?

(東)
 町内には子どもの人数が少ないので、いるだけで宝という感じです。息子と散歩していると、いろんな人が声をかけてくれるし、挨拶だけの関係だった人でも、子どもがいると会話が弾みます。
 私のおばあちゃんが入居している上勝町内のケアハウスに息子を連れていくと、他の入居者の方もたくさん集まってきてくれて、お菓子をくれたり、折り紙を作ってくれたり、みんなが自分の孫のように可愛がってくれます。自分の身内ではないのに優しくしてくれて、気軽に声もかけてくれる。そういうときに子どもは宝なんだなと感じます。
 あと、彩保育園では田んぼや川で遊ばせてくれたり、晩茶(※1)づくりをさせてくれたり、この町の文化や田舎暮らしみたいなところも体験させてくれるので、親としてはすごくありがたいです。

※1 上勝町の各家庭で伝統的に作られてきた発酵茶

(松本)
 日曜日は保育園がお休みでカフェは営業しているので、ファミサポという制度を活用して、町内の知り合いの方に子どもを預かってもらっています。自分自身も尊敬しているような人生の先輩が自分の子どもと一日一緒に過ごしてくれて、自分たちでは教えられないようなことをたくさん教えてくれるのはすごく贅沢でありがたいことだなぁと思います。

どんな子育てをしていきたいですか?

(東)
 私は小さい頃に親が稲刈りした後の田んぼでかけっこをしたり、たんぽぽやレンゲを摘んで首輪をつくったり、時間を気にせずただそこにあるものでずーっと遊んでいました。そういう体験が貴重だったなと今になってすごく思うんです。
 家に猫の額ほどの小さな畑があるので、そこで息子と一緒にカフェのサラダで使うベビーリーフなんかをつくるのがとりあえずの目標です。時間を気にせず、上勝町の自然に触れながら生活を楽しむことにもっと時間を費やしていきたいなと考えています。

 また、息子にはいろんな人と接する機会をつくってあげたいです。上勝町は人口が少ないので、関わる人の数や幅はどうしても限られてしまいます。私は小さい頃から大人が参加するような講演会やワークショップなどに、子どもとしてではなく、一人の人間として参加させてもらっていました。その経験によって、年上の人たちと関わって視野が広がったし、尊敬できる人や自分の目標を見つけることもできました。そんな機会を与えてくれた母親にすごく感謝しています。自分が子育てしていく上でも、いろんな場所に一緒に連れて行って、息子にたくさんの可能性を見出してあげられたらと思っています。

上勝町のどんなところがパラダイスですか?

(松本)
 東京では職場の同僚と一緒にいる時間が長かったですが、上勝町では職場というよりみんながいわば”上勝町”という大きな船に乗っていて、やっていることはそれぞれバラバラでも仲間意識があると感じています。いい意味でも悪い意味でも人間関係が近いですね。楽しいことや嬉しいことはみんなでシェアできるし、近すぎて逆にもめ事とかも多々ありますが、それも含めて人間らしいコミュニティがあるところは気に入っています。

(東)
 先日、子どもと買い物に行く道中で、桜やチューリップが咲いていて、春の匂いを感じました。四季折々の風で季節を感じることができて、たまには仲間と一緒にお花見とかバーベキューとかそういう楽しいことができたら、もうそれだけでパラダイスだなぁと感じますね。

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