中野 智子 インタビュー
パラダイス手書き文字
タイトル
中野 智子

中野 智子

年齢: 53歳

出身地: 徳島市

移住年: 2004年

肩書: フリーランス

居住地区: 傍示

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夫の親が上勝出身で、結婚当初から「いつか上勝に帰る」という話はあったんよ。
前に住んでた小松島市での生活は快適で、お風呂は家の中でスイッチ一つ。薪を焚かなくていいし、雨に濡れずにいつでも入れる。
農家の娘に生まれた私は、薪風呂の大変さを知っていたから、その便利さがすごく新鮮で楽しかったんです。
だから上勝に移住が決まった時は、正直「また風呂が外か!」って抵抗もあったね(笑)。でも夫から、仕事がデジタル化で上勝でもできるようになったことや、子どもの小児喘息のこと、それに家賃がかからないという話もあって、まあ「丸め込まれた」というのが本音かな。2004年3月、長男が小学校に入る1年前に、私たちは上勝での暮らしを始めました。

最初の半年は「長い夏休みにばあちゃん家に来てる」感覚が抜けなくて、自分の家っていう実感がなかなか持てなかった。それに、上勝に来てすぐ戸惑ったのがゼロ・ウェイストのごみ分別。小松島市では細かく分別していなかったから、最初は何が何だかわからんかった。暮らしそのものが、一から学び直しという感じでしたね。

変わり始めたのは、子どもが小学校に入ってから。PTAや少年野球でスコアラーを引き受けたりして、同級生の父兄との付き合いが広がって。ルールは知ってたけどスコアなんてつけたことないから最初は半泣きだったけど(笑)、これをきっかけに地域に顔が広がり始めた。ばあちゃんの彩(いろどり)(葉っぱビジネス)の手伝いも少しずつ始めて、家の中だけの世界から、地域と一緒に暮らす感覚に変わっていったんよ。

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2007年からゼロ・ウェイストアカデミー(上勝町のゼロ・ウェイストを促進するために設立されたNPO法人)で働き始めて、そこからごみ運搬支援を個人で引き継いで、これがマルチワークの始まりでした。今はごみ運搬支援のほか、有償ボランティアタクシー、水道検針、民生委員、それに家業の晩茶作りや夫の編集業の手伝いもやってます。ほんまにいろんなことを並行してやってるけど、それが上勝での私の暮らし方になったんよ。

一番の喜びは、やっぱり人との交流。タクシーでいろんな人を案内したり、話したり。ごみ運搬支援や水道検針は家の中まで入らせてもらうこともあるから、良好な人間関係を築いて信頼を得ることが大事なんです。その信頼が、また新しい仕事や繋がりを生んでくれる。
この田舎で暮らす上で大事なのは、「知ってもろてなんぼ」ってこと。ちゃんと挨拶して、コミュニケーションを面倒くさがらずに、自分から人に繋がりにいく姿勢が大切だと思う。

ただ、私すごいムラのある人間で飽き性なんですよ。特に水道検針みたいな単調な仕事は、最初は本当に苦痛で。でも「これを乗り越えた先に何かがあるはず」って思って、修行だと思い込んだ(笑)。几帳面じゃないから後でしわ寄せがくるタイプだったけど、できる時に早めに片付ける習慣が少しずつ身についてきたかな。
上勝での人付き合いは、私にとってすごく心地いい。べったりした濃密な関係は苦手なんだけど、ここは「ザックリとした付き合い」ができる。適度な距離感で付き合える多様な人間関係が、暮らしの中で精神的にすごく助かってるんです。かっこつけずに、お互いを察しながら付き合える。本当に楽なんよ。
行動する意識さえあれば、若い人も年配の人も、年齢や性別の区切りなく繋がりを持てるのも上勝のいいところ。祭りのだんじりの練習も、子ども達の練習に興味を持って見に行ったら「やってみんで」と受け入れてもらえた。この受け入れてくれる土壌が、上勝にはあると思います。

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そんな飽き性の私だけど、最近は着物にハマった。着物は、夫たちとやってるバンドで祭りに出演することになったのがきっかけ。町の交流・活動拠点「ひだまり」には、リサイクル着物がたくさん集まってくる。着たい人が着ることで、埋もれていた着物たちがまた息を吹き返すっていうのが、すごくいいなと思うんよ。
これからは竹細工を教えてもらってやりたい、材料をわざわざ取り寄せなくても、身の回りにあるものを使ってものを作るっていう民芸的な考え方に共感して。自然が豊かで、それを自分次第で何にでも使える。本当に贅沢な暮らしですよね。
上勝に来て、本当によかった。お金も大事だけど、お金がなくても楽しめるのが上勝です。

ただ、移住を考えている人に伝えたいのは、幻想を抱かないでほしいということ。上勝を「パラダイス」にするのも、しないのも、自分次第。誰かが用意してくれるわけじゃありません。自分で手足を動かし、一歩踏み出さないと、何も始まらない。泥臭いところもいっぱいあるし、理想ばっかりじゃない。そういう面倒臭さも清濁併せ飲める人が向いていると思います。
でも、人と話すのが好きな人、好奇心旺盛な人はぜひ来てほしい。田舎では特に、知ってもらってなんぼです。挨拶をちゃんとして、人当たりよく接することが信頼につながり、それが仕事や新しい繋がりに発展していく。めんどくさいこともいっぱいあるけど、関わっていった方が断然楽しい。上勝は「中の人」になって暮らした方が面白いよ。

中野 智子

1日の流れ

7:00  起床、身支度
8:30  「ひだまり」を出発し、集落を回ってごみ収集(おしゃべりも大事な仕事!)
12:00 昼食・休憩
13:00 収集物の分別作業、事務作業
16:30 買い物
18:00 晩ご飯(最近は早い時間に食べる)
19:00 レコードを聴いたり、テレビ鑑賞、スマホいじり
22:00 入浴
24:00 就寝

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