起業したのは人の縁

2018年03月18日 2018年03月30日

葉っぱビジネスをまねようと…

　上勝町に来る前は、地元の愛知県でサラリーマンとして働いていました。生活や仕事に全く不満はなかったんですが、学生時代から「自分で事業をしたい」という思いが漠然とあって、挑戦のきっかけを探していました。
　2011年、たまたまテレビで「彩（葉っぱビジネス）」の特集を見て、「これなら愛知の山奥でも同じことができるかも」と思い、㈱いろどりのインターンシップに一ヶ月間参加しました。しかし、実際には、長年かけて培われてきた生産者の知識・経験や情報システムがビジネスを支えていて、まねるのは簡単ではないことを知りました。
　「もうここに来ることはないだろうな」と思いながら愛知に帰ったんですが、インターンの同期の仲間に誘われて、その後も何度か上勝町に来ることになりました。インターン中にお世話になった農家さんと地元の食材や料理を持ち寄って一緒にバーベキューをしたり。とても楽しかったですね。そんな時、観光振興に取り組む地域おこし協力隊を町が募集していると聞いて、その話に乗っかったんです。

上勝町に可能性を感じて地域おこし協力隊に

　それまでも山登りやキャンプは好きでした。でも観光業なんてやったことありません。上勝町には「彩」と「ゼロ・ウェイスト」という二大ブランドがあります。インターンで来た時から町民の方が自分の町や自分自身に誇りを持っているなと感じていたので、この町には可能性はあるなと思っていました。
　協力隊の二年目、以前からあった町のキャンプ場の再建を考え、改修工事のデザインや設計を提案しました。無事にOKがもらえたので、改修工事に取り掛かるタイミングで2016年に「合同会社パンゲア」を設立しました。初めから全て自分の頭の中で計算ができていたわけではなく、いろんなきっかけや人の縁が重なって、今に至っているのかなぁと思いますね。

会社を経営していくことが恩返し

　パンゲアの事業内容は、バーベキュー、キャンプ場、コテージに加えて、お子様向けのツアー、グランピング、アウトドアウェディングなどを行っています。
　自分で事業を始めてみて、経営方針や戦略などはもちろんですが、会社の雰囲気を自分の色でつくっていけるのがおもしろいですね。若いスタッフが多いので、その子たちが100％能力を発揮できるように気を使っています。パンゲアにいて楽しいなと思ってもらいたいですね。
　パンゲアを始めるにあたってはいろいろな方にお世話になりました。上勝町の山や川など、地元の人がこれまで守ってきてくれた資源を元に事業が成り立っているわけなので、恩返しをしなければなりません。
　そのために上勝でも会社をしっかり経営していけるということを立証したい。それが恩返しというか僕の責任なのかなぁと考えています。そのためには絶対に赤字を出すわけにはいかない。もし会社が倒産してしまったら、やっぱり無理なんだと思われてしまうので。まだまだ始まったばかりですが、五年後、十年後には周りに認めてもらえるよう結果を出していきたいと思っています。

次世代にバトンをつなぐ

　一円の資本金で株式会社ができる時代なので、やろうと思えば誰でも事業はできます。でも僕が望んでいるのは、スタッフを抱えて、若者たちが次世代の新しいパンゲアを築いていくことなんです。会社も二年目となり、みんなある程度自信を持ってやってくれています。頼もしいですね。
　会社はこれからもどんどんチャレンジが必要です。たぶん、今のメンバーがいれば上手くいくような気がしますね。
　上勝町との縁が思わぬ形に発展して自分自身驚いています。まだまだ道半ばですが、目指すは三年以内に年商一億。僕がパンゲアを辞める時には、三億円ぐらいもらえるように頑張っていきます。