上勝と世界を繋ぐ架け橋に
(左)渡戸 香奈(28) (右)リンダ・ディング(29)
カナダ出身 2020年移住 カナダ出身 2019年移住
2年前に移住したリンダさんと去年移住したカナさん。
現在2人は共同で「INOW(イノウ)」という滞在型教育プログラムを運営している。
カナダ出身のふたりが一体どうして上勝へ?そして、ふたりが感じる上勝の暮らしとは?
どうして上勝へ?
(リンダ)
上勝町に知り合いがいる友達が企画してくれたライティングツアー(本を書くことを仕事や趣味にしている人たちを集めて上勝町を訪問するツアー)に参加したのが上勝町を訪れるきっかけでした。今までずっと都会で暮らしてきたので、これほど自然に囲まれた場所に来ることは初めてでした。夜になると余計な光がなく、川に月が映って見える様子がとても綺麗だったことを覚えています。翌朝、目が覚めると川の音と鳥のさえずりが聞こえ、今まで経験したことのない穏やかで美しい自然を目の前に、「ここは世界で一番綺麗なところだ」と思うほどでした。ツアーが終わって皆は帰っていきましたが、わたしはこの素敵な環境に心を打たれ、帰路のチケットを全てキャンセルし、そのまま上勝に残ることを決めました。
(カナ)
もともとはバングラデシュで仕事をしていたのですが、新型コロナウイルスの影響でカナダに帰国することになり、次をどうするか考えていました。漠然と「次は環境の良いところに行きたい」という気持ちがあり、その時に5年ほど前にゼロ・ウェイストについての記事を読み、上勝町を調べたことを思い出しました。いつか行ってみたいと思っていた場所だったのでこの機会に一度行ってみようと思い立ち、あらためて調べてみると同じカナダ出身の女の子(リンダ)がいることを知り、”こんなところに!”という嬉しさもあってすぐに連絡を取って上勝を訪問することになりました。初めは移住することまでは考えていなかったんですが、訪問したときに滞在を受け入れてくれた家族のみなさんの温かさや自然環境の良さに惹かれてそのまま移住を決めました。
2人が運営しているINOWプログラムとは?
「INOW(いのう)」は「I KNOW(私は、知っている)」という英語の意味合いと、「家に帰ろう」という意味の上勝の方言から名付けました。ゲストが町内に長期で滞在し、地域の人たちと同じ時間を過ごす中で、受け継がれてきた文化や伝統、習慣や暮らしを通して自分の価値観を改めたり、新たな視点を得ることで自己理解を深め、自分の居場所や役割を見つけることを目的とした教育プログラムです。そして、今までとは少し違ったかたちの「持続可能性」についても考えるきっかけにしてもらいたいと思っています。ゲストによって興味や関心のあることが違うので、それぞれに合わせて内容を変えながら進めています。
ふたりの想い
ゲストによって同じ場所に連れて行っても見え方や感じ方が違うことが面白いです。価値の見え方は人それぞれであることを感じます。特に海外の方は日本に来ても有名な観光地をまわることが多く、実際に地域に入って生活をするような体験ができることはとても貴重なのですごく喜んでもらえます。ゲストが上勝で学び、感じたことを持ち帰り、それぞれの場所で発信してもらえたなら上勝町のPRや活性化にも繋がると思っています。私たちがゲストと地域を繋ぐ架け橋のような役割になれたら嬉しいです。
普段の暮らしと上勝の好きなところ
(リンダ)
とにかく自然が好き。四季で移り変わる景色の様子も最高。毎日のようにランニングしたり、散歩したり、自然を思いっきり堪能しています。あとは食べ物ですね。季節ごとに産直に並ぶ旬の食材はどれも本当に美味しい。それに、”こんなに新鮮なものがこの値段で!?”と、驚くくらい安く手に入るのも嬉しいです!
(カナ)
わたしも自転車を始めたり、ランニングをしたり、大自然に囲まれて体を動かすことを楽しんでいます。料理も好きで、色んなものに挑戦しています。今年は梅干しを作ってみたけど失敗してしまって。でも、失敗も良い経験で、来年こそは!と思ったら来年が待ち遠しくなります。あと、食べ物から季節を感じることや、”この時期にこれを食べることで健康を祈願する”というような日本ならではの食文化も好きです。今年初めて食べた七草粥には感動しました!
移住者に向けて
(リンダ)
本格的に移住をする前に何らかの繋がりを作っておくといいかも。そのほうが来てから寂しいと感じることが少ないと思います。でも、みんな優しく受け入れてくれる人ばかりなので安心して来てみてほしいです。もちろん私たちはいつでもウェルカムです!
(カナ)
上勝の生活はもちろん不便さはありますが、それを踏まえて自分で自分の暮らしを作る・整えていくことを楽しめる人にとても合うと思います。出会う人はみんな優しい人ばかりですよ。