池添 亜希(39)
徳島県出身 2018年移住。
働いている間に芽生えた移住への思い
上勝に来る前は、徳島市内の介護施設で働いていました。介護の仕事をしている間に2人の子供を出産したんですが、赤ちゃんを介護施設に連れて行くと、利用者さんが喜んでくれて生き生きとされるのを見て、いつか自分で0歳から100歳までが集まる複合施設を運営したいと思ったんです。
そのために勉強したり周りに相談していると、夫が働いているRISE&WIN(上勝町にあるクラフトビールの醸造販売会社)から、「うちで働いてみないか?起業を考えているなら外の世界も見てみてはどうか」と言ってもらったので、一旦介護の仕事を離れてRISE&WINで働くことにしました。通勤で上勝まで1時間車を走らせるのはとてもリフレッシュになっていましたが、最初は全く移住を考えていませんでしたね。
上勝で接客していてお客さんが「上勝はすごい!もっといろんな話を聞きたい」と言ってくれても、自分はこの町に住んでいないのでリアルを伝えられなかった。そういうもどかしさを感じるようになり、同時に子どもたちをこの町の環境で育てたら素敵だなという気持ちも芽生えてきたんです。夫にそのことを伝えたら賛同してくれました。
親の幸せと子どもの幸せを考えて取った行動
いざ移住へ一歩踏み出した時に、親が幸せでも子どもが幸せでなければ意味がないので、子どもが学ぶ教育機関がどういう環境なのかなど気になることがありました。それを上勝町移住コーディネーターの方に相談したら、保育園を見せてくれて、さらに次の進学先である小学校も案内してくれたんです。保育園では先生方と実際に入園したら同じクラスになる子どもたちにも会え、小学校では校長先生とお話しさせてもらえました。その時点で不安は全て吹き飛び、子どもにとっても幸せな移住になると確信できましたね。
町営住宅の環境
家は役場の方と連絡を取り合って紹介してもらいました。空室になるタイミングや、抽選への申し込みなど、子どもの入園式の時期と重なったのでバタバタしましたが無事に入居できました。部屋は4部屋あって、ガレージと庭、外に倉庫もあるので満足しています。
車通りがほとんどない場所で、保育園時代に子どもが外で遊んでいても安心していられましたね。近所の子どもたちとも一緒に遊んで、子どもにとっても良かったと思います。顔を見たら手を振り、立ち話もするし、時々お裾分けをし合ったりと、仲がいいですね。みんな距離は近いですが、無理強いすることなくマイペースでご近所づきあいしていてそれがまた心地よいですね。町外に住んでいた頃は「お隣さんの顔を知っている」くらいの関係でしたから。
人の温かさが安心と幸せにつながっている町
移住してきてありがたかったのが、知り合いや友人たちが何かと助けてくれることです。上勝は公助、共助がうまく機能している町だと思います。小さい町だからこそみんなで力をあわせる意識が自然と備わっているのですね。困っていたら手を差し伸べてくれる、また誰かが困っていたら手を差し伸べる。そういう距離の近さがとてもいいですね。
自分たちのことを知ってくれている人が町にたくさんいることも安心につながっています。町の子どもたちは町民みんなが我が子のように接していますね。そんな環境で育っているから子どもたちも生き生きしています。移住当初に思った通り、子どもも幸せに暮らせています。
上勝に移住してきて一番いいなと感じているのは、人間関係と自然環境ですね。四季の移り変わりも毎年同じではなく、感受性が豊かになりました。町の人との何気ない挨拶や、さりげなく助けてくれるところなど、本当に幸せを感じます。
いつか私もお返しをしたいんですが、まだまだですね(笑)。